これからの相続、
法律改正等
Inheritance, law revision

任意後見制度

任意後見契約について

現在日本では65歳以上の高齢者の28%、850万人以上の方が認知症予備軍といわれています。不動産や金融資産の保有者が高齢者に多いことを鑑みると、いざ財産の処分の必要がある時に、認知症の発症により処分行為や契約行為が自由にできない危険性が常に潜在するのだと、日ごろから意識する必要があります。
判断能力が十分にあるうちに、将来の判断能力低下に備えてあらかじめ自らが選んだ代理人に財産の管理方法、生活や療養看護につき、代理権を与える契約をしておくことができます。これを任意後見契約といいます。

契約するとどうなる

契約内容は生活全般にかかわる重要な項目にあたるため、公証人の作成する公正証書で契約を行い、その後公証人から法務局に任意後見の登記がなされ公示されます。
自分が選任した代理人を任意後見人と呼びますが、本人の判断能力が低下した後に、任意後見契約で定めた事務につき任意後見人が代理して契約を進めます。また、家庭裁判所は任意後見監督人を選任し任意後見人の事務を監督します。
任意後見契約を交わしておけば、本人の意思に基づいた適切な支援や保護が行え、将来の判断能力の低下に備えることができます。

法定後見との違い

法定後見は判断能力が低下してから家庭裁判所主導で内容を決定する後見制度ですが、任意後見制度は判断能力が低下する前の契約がベースになっているため、本人の意思をある程度反映した後見制度であり、家庭裁判所は「任意後見監督人による監督」という形で間接的に関与します。
また、法定後見では本人の財産や療養看護全体に効果が及びますが、任意後見契約では任せる事務の範囲を事前に決定しておくことが可能です。

任意後見契約(則)≠ 家族信託契約

任意後見契約と相似するものとして家族信託契約があります。任意後見契約も家族信託契約もそれぞれに長所短所があり、財産状況や家族関係等により内容を決定して選択することが重要で、最近では併用する傾向も見られます。
中尾パートナーズではどちらの契約もサポートできます。お気軽にご相談のうえ、最適な内容の手続きをご提案させていただきます。

見守り契約・財産管理契約

任意後見契約は委任者の判断能力が不十分になって初めて後見人の仕事がスタートします。その段階に至るまで法律行為は自分で判断し、単独で行うことになります。しかし、能力の低下度合いは判断が難しく、低下途中での自身の行為に不安がある方も多いと思います。
そのような方のために、いまだ判断能力がある委任者が任意後見契約成立後から実際に後見が開始されるまでの期間につき、財産管理や生活、療養看護に関わる事務の範囲を決めて委託する契約です。

メリットは?

任意後見契約の契約時から、後見が開始するまでの期間を補充する役割があります。
任意後見契約締結後、通常は一旦本人と受任者の関係が薄れるため、後見開始の適切なタイミングを見失うことも多いのですが、見守り契約によって定期的な接触が続くため、本人の状態把握が正確かつ適切に行えます。
徐々に低下する体力や判断能力から来る本人の不安を軽減でき、サポートを受けながら生活や法律行為が行えます。

終活・身近な人が
亡くなった際の手続

中尾パートナーズでは、お亡くなりになった方の財産に関する相続手続きをお手伝いさせていただいておりますが、人が亡くなるに当たって行う諸手続きは、相続だけに限りません。
中尾パートナーズでは終活・エンディングノートの作成や、お亡くなりになった際の諸手続きを広くサポートさせていただいております。

「なぜ、中尾パートナーズはそんなにたくさんの手続きを行えるのですか?」とご質問を受けることがあるのですが、それは、司法書士にとどまらず、社会保険労務士・行政書士・土地家屋調査士の各法人が同一組織内にあり、提携先である税理士法人・不動産業者・ハウスメーカー・各金融機関との長期にわたる業務提携により、信頼関係が構築されているため、身近な生活全般に関わる各種手続きを網羅できるからです。
以下の手続きのサポートができます。まずはご相談ください。

終活・エンディングノートの
作成手続

手続名 手続の
内容
中尾パートナーズ
取扱業務
相続関係の確認、掌握 戸籍書類の取得、
相続関係図の作成
遺言の作成 公正証書遺言・自筆遺言の作成
生前贈与 税理士と共同で贈与内容を検討し実施する
資産の不動産化 提携ハウスメーカー・金融機関を
ご紹介
不動産の売却・整理 提携不動産業者をご紹介
土地の分割(分筆) 土地を切って将来の相続の準備を行う
収入・支出の把握 現在の家計収支、
お金の出入りの確認
年金受給額の計算 将来的な受取年金額の計算
家族信託 税理士と共同で家族信託案を作成
リバースモーゲージ お住まいを担保に
提携金融機関から
老後資金を取得
施設・老人ホームの調査 将来の入居施設の
検討
任意後見契約 特定財産の処理・
管理方法を計画して
委任
デジタル終活 デジタルデータの
消去等
×

〇:中尾パートナーズでのお手続

△:中尾パートナーズと提携企業が共同でお手続

身近な人が亡くなった時に
とる手続

手続名 手続の
内容
中尾パートナーズ
取扱業務
死亡届の提出 該当役所に
書類を提出
年金受給停止手続 死亡者の年金を停止
遺族年金の請求 残されたご家族へ
年金を切替
未支給年金の請求 死亡月の年金の請求
健康保険・国民保険停止 資格喪失届の提出
準確定申告 提携の税理士法人をご紹介できます
引き落とし
口座の変更手続
公共料金等の
引き落し変更
×
高額医療費
払い戻し
申請
医療費還付の手続
相続
諸手続
相続人の確定・戸籍書類の取得
公正証書遺言の検索(遺言が無いか探します)
自筆証書遺言の検認手続
財産、預金口座の
調査、出金手続
法定相続情報一覧図の作成
相続放棄手続
遺産分割協議書作成
自動車の
名義書き換え
不動産の相続登記
生命保険金の
払戻手続
相続税の
計算・申告
提携の税理士法人をご紹介できます
空家問題の解決 提携不動産業者を
ご紹介できます
復氏の
届け出
婚姻前の氏名に
変更する

家族信託

最近よく「家族信託」という言葉を耳にするのではないでしょうか?
言葉は聞くけれど、実際に家族信託とはどのような手続きなのでしょうか。

家族信託とは、簡単に説明すれば、不動産等の①管理をする行為と②利益を得る行為を別にすることです。
(例)お父さん、お母さん、息子が一人の3人のご家族があるとします。
この家族のお父さんが賃貸住宅(共同住宅)を持っている例に当てはめてみると…

お父さんが所有している賃貸住宅なので、通常であればお父さんが管理し、その家賃収入もお父さんが受け取ります。
しかしお父さんも年を取り、「今後のことをどうしようか?」と考えた結果、息子に管理を任せ、家賃収入についてはお父さんが亡くなるまではお父さん。お父さんが亡くなった後は、お母さんが受け取るようにしたいと考えました。
これらをきちんと契約行為にし、実現していくことが家族信託に当てはまります。

家族信託 家族信託

所有者がAであれば、通常①も②もAの権利になります。
信託とは、①と②を分離するための行為であり、またA死亡後の②の権利を受け取る者も決めておくことができます。
信託では下記の名称でそれぞれを分類しています。
A:委託者  B:受託者  C(Aの場合もある):受益者

このケースでの家族信託をする
メリット

  • 相続を待たなくても息子に管理をしてもらえる
  • 自分が死亡した後の家賃収入を受け取る人も決めておける
  • 途中で契約内容を変更することも可能で、状況の変化にも対応できる
  • お父さんが認知症になったとしても、息子は契約の制限内で賃貸住宅を売却したり、新しく建て替えたりその他の処分ができる

3種類手続の
メリット・デメリット比較表

家族信託 法定後見 任意後見
対象財産を活用できる × ×
本人死亡まで終了できない ×
費用がかかる
財産を安全に管理できる
裁判所の許可が必要な場合がある ×
遺言の代わりになる ×
将来増加した財産も対象になる ×
生活全般に影響する ×

家族信託には後見制度を補完する機能があります。財産の一部を対象にすることができ、承継方法も決めることができるので、遺言の代わりとしての役割も持たせることができます。
ただし内容の決定には将来的な展望や税務的検証も必要であるため、ご相談・お問い合わせは中尾パートナーズへお寄せください。

法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度について

法定相続情報の一覧図を作成して法務局に保管を申し出れば、5年間無料で法務局から法定相続関係の証明書(法定相続情報一覧図)の交付を受けることができる制度です。
「法定相続情報一覧図」は相続関係を図式化した書面であり、法務局の審査を経ているので相続関係や相続人が容易に判明し、証明することができます。

何が便利、何に使う?

法務局への被相続人名義不動産の相続登記申請のほか、金融機関から預貯金を引き出す際には被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本など、大量の証明書を法務局や各金融機関に提出し、審査を受ける必要がありました。
しかし認証された法定相続情報一覧図があれば戸籍謄本一式の提出が不要となり、審査期間も短くなるため処理が早く行われます。
各金融機関のほか、保険会社や証券会社にも同様に使用でき、相続税の申告にも使用できます。
法定相続情報証明制度の法務局手続き費用は無料です。また、発行費用も無料で一度に何枚でも取得できます。この制度を使用すれば相続関係の証明が容易になり、結果的に各諸手続きの時間も費用も節約できます。

中尾パートナーズでもこれまで多数のお手続きをさせていただき、皆様から好評を得ています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

変わる遺言制度

これまでの遺言

これまで遺言の主流は公証役場において公証人の下で作成する公正証書遺言でしたが、民法改正により、自分で手書きする自筆証書遺言の存在が大きくなっています。
しかし自筆証書遺言にもさまざまな問題点があり、これまでの自筆証書遺言は、文章から財産目録などの表まで、すべてを自分で手書きする必要があり、パソコンなどを使用できませんでした。また、誤った方法で作成した遺言は効力を発しませんでした。
しかし、2019年1月の改正により、財産目録をパソコンで作成したり、通帳のコピーや不動産の登記事項証明書もそのままの使用が可能になったり、自筆証書遺言の作成が簡易で便利になりました。
これにより財産が多岐にわたる人も作成が容易になりました。

今後改正が予定されている項目

2020年7月予定の改正後は法務局に自筆証書遺言を預けることが可能となります。

特徴やメリットなど

  • 法務局から遺言書保管事実証明書が発行されるので、遺言の存在が分かりやすい
  • 家庭裁判所の検認手続きが不要になり、遺言作成費用も抑えられる
  • 遺言者は自分の遺言を閲覧でき、遺言の撤回行為も可能
  • 遺言者死亡後、相続人は遺言の閲覧や遺言内容の証明書取得が可能
自筆証書遺言はより身近に使いやすくなりました。財産の把握ができていない方もお気軽に中尾パートナーズまでご相談ください。

配偶者居住権の創設

配偶者居住権について

相続が発生した際に問題となるのが、それまで財産を所有していなかった被相続人の配偶者が、相続税や相続財産の分配の事情により、安心して居住を続ける環境が脅かされる事態が発生することでした。そこで2020年4月の民法改正により配偶者の居住を守る権利が創設されます。

配偶者居住権とは?

これまで不動産に住む権利は所有者が付属の権利として取得していたところ、配偶者居住権の創設によって、建物を所有する価値と居住する価値に分けて評価し、居住する権利を独立して取得することが可能になりました。

具体例で説明すると:
「被相続人が所有していた建物と預貯金2,000万円に相続が発生した場合」

これまでであれば、配偶者が居住を継続するために建物全部を相続する場合も多く、その分預貯金の相続分が少なくなることにより、生活資金に心配が生じることがありました。
また、建物を相続した配偶者自身にも近いうちに相続が発生することも多く、その際に、また不動産を相続せねばならず、結果的に余計な費用や手続きが必要でした。

これらが、配偶者居住権の導入により、居住する権利を規定の計算方法により500万円や1,000万円等に換価して相続できることになりました。配偶者は建物全部を相続するより低い価額を相続するため、他の資産や預貯金等も多く取得できるようになります。
子どもが建物を相続する場合も、「居住されている」という、負担がある建物と評価されるため、価額は低くなり、その分他の財産の取得範囲が広がります。
また、居住している配偶者が亡くなっても相続する必要はなく、建物を使用したり迅速に処分したりすることが可能です。

※注意:配偶者居住権については、“これから”の制度でもあり、価値の評価方法が複雑で課税関係も明確でないため最新情報に注意する必要があります。

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