相続が発生し、残された遺産を分割するには、相続人が全員参加して協議を行い分割内容を承認する必要があります。その際に、相続人の中の一人が行方不明などの理由で連絡がつかず、遺産分割が進まないケースが近年増加しています。その際にはどのような手続きを行えば良いのでしょうか。
まず、連絡がつかない相続人がどのような状態なのかを正確に把握して分類をする必要があります。
大きく次の3種類に分類ができます。
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生死及び所在も不明
→ 不在者財産管理人選任手続及び失踪宣告の検討
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恐らく生存しているが、所在が全く分からず連絡手段が無い状態
→ 不在者財産管理人選任手続
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生存しており所在も把握しているが、連絡に応じない
→ 連絡を続け通常の手続を目指す。
不在者財産管理人選任手続とは
所在が不明で容易に戻る見込みのない者に財産を管理する者がいない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申立を行います。不在者財産管理人は、裁判所監督の下、不在者に代わって遺産分割協議を行ったり財産の管理や不動産の売却を行ったりすることができます。不在者財産管理人には利害関係の無い親族なども就任できますが、トラブル回避やスムーズな手続き進行のために、司法書士や弁護士などを選任するケースが増えています。
【注意点】
不在者財産管理人を交えた遺産分割協議を行う場合は、原則として所在不明の相続人に法定相続分相当の持分を取得させる必要がありますので、事前に分割内容の慎重な検討が必要になります。
中尾パートナーズでは申立てに必要な書類の収集から事前の調査、裁判所との審理に関する応対手続きなどのすべてを行えます。お気軽にご相談お問合せください。
失踪宣告について
不在者につき生死が7年間明らかでない場合や、震災などの死亡の原因になる危機に遭遇し、危機が去ってから生死が1年間明らかでないときは、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てることができます。失踪宣告が受理されると不在者は法律上死亡とみなされ、相続が開始したり婚姻関係が解消します。申し立てには慎重な判断が必要となります。